彼の浮気と私の浮気と夢物語

わかっていたことじゃない、と自嘲気味に笑うしかなかった。

怒りはあったけどどこか落ち着いていた。

いつだってそんな気がしてたから。

 

彼が浮気してるなんてわかってたことじゃない。

 

彼の友達が、控えめに、伝えてきた。

わかっていたことなのに、聞くまでやっぱりどこか信じてしまっていた自分がいたのがおかしい。

 

信じさせることは容易。

 

心が不安定な相手であればあるほど

弱みに漬け込めばいい。

安定した相手なら、

弱みを見せたら良い。

 

私は誰かの特別になりたくて

承認欲求に飢えてるバケモノだから

「結婚」というエサにまんまと釣られてしまった。

 

白いウエディングドレスが着たかった。

誰の隣とかじゃなく、

単純に

白いウエディングドレスが私にとって、幸せの象徴だった。

 

目的と手段が入れ替わってるなんてそんなうるさいこと100も承知で

私にはあれが憧れだった。

 

跪いてプロポーズしてくれる相手に出会えたのかもしれないと思った。

 

彼があまりにもストレートにアプローチしてくれるから、

そう信じてしまった。

女物を見つけて泣き出す私を慰めながら

馬鹿みたいだなって笑ってたんだよね。

不思議な人だなって思ったけど、

私も彼だったらきっと笑ってた。

 

そんな言葉、信じちゃうんだ。

ああ、馬鹿だなぁって。

 

あなたが好きだと思ったから、信じてた。

ほんとはずっと嘘だろうなって思ってたよ。

 

私だってずっと浮気をしていた。

彼のことはすごく好きだけど、物足りなさを感じていたから。

でも手放すことなんて出来なかった。

彼はそれほどに魅力的で、

私のことを純粋に好きでいてくれる相手は私にとっては大切だったから。

 

 

セフレがいたとしても、あなたしかいないって伝えてた。

私にはたくさん誰かがいてくれれば良いけど、セフレにとっての特別は私だけが良かった。1人の特別になることが私にとっては大切だった。

 

特別だって信じたかった。

 

何にもない私だけど、彼は私の良いところを見つけて、

 

好いてくれてるんだって。

 

 

そんなのきっと夢物語だったの。

私はきっと平凡な女で

都合が良くて、

愛でられることはあっても、

愛されてることはなかった。

 

彼にとってのペットだった。

 

放し飼いにしても帰ってくるんでしょって、

私を放っていくんでしょ。

 

馬鹿みたいだよね。ほんとうに。